「優しいね」なんて言葉をかけられる事が最近多いな、と思うんですよね。私は私の事を「優しい人間だ」なんて思った事はない。
でも、周りが言ってくるから、何となく考えてみたんですよね。で、結論なんですけど、結局は優しくできるのって、自分の弱さとか脆さを誰よりも知ってしまったからだと思うんですよね。
他人の痛みがわかってしまうからこそ、誰かに優しくなる事ができる。そんな気がしたのです。
強い人にはわからない心
強い人は弱い人の心がわからない。精神的に強い人って自分の心が傷つく事がない。だからこそ、痛みがわからないんですよね。
強い人は魅力的だけれど、強いからこそ誰かに優しさを与えあげられないのかもしれない、と思ったのです。強い人って良いよね。
私も強い男性を見ると、「頼もしいな」と思ってしまう。男だけどね。男友達でもそう思う人っているじゃない?
だけれど、自分の弱さを知っている人の方が他人に対しては優しかったりするのよ。自分の弱さを知っているからこそ、誰かが自分と同じような境遇になった時に、
「どんな言葉をかけてほしいのか?」かがわかる。いかに「頑張れ」という言葉が意味のないものなのか?という事がわかるのです。
「頑張れは諸刃の剣」だったりする。
もう消えてしまいたい。「あの雲の中にスーッと消えていきたいな」なんて思ってしまった自分がいるからこそ、孤独とか、脆さとか、醜さとか、
そんな人間的な感情を理解する事ができる。そして、その人と一緒になって考える事ができる、と思うのです。自分の弱さを誰よりも理解している。
自分が弱い人間で、誰かに頼らないと生きていく事もできないような人間だと自認しているから、私は人を頼れるし、私も他人に優しくする事ができると思っています。
きっとそうじゃないかな、優しい人って。たまに「強くて優しい人」もいるけど・・・
基本的には優しさは弱さだったりもする。でも、それは同時に強さだったもする。不思議だね。
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孤独に包まれた夜を過ごした
私には孤独な時間を経験した事がある。本当に何もなかった。何回も言っているから、もう言わない。孤独な人生の中で街の喧騒に安心した自分がいた。でも読んで欲しい。
とにかく孤独で、何もかもが嫌いで、何なら自分の弱さも嫌いだった。どんなに頑張っても、自分の中にある暗さとか、闇とか、脆さみたいなものを受け入れる事ができなかった。
私の周りにベールのようにかかる不安も大嫌いだった。本当につらい毎日でした。本当に何もかもが嫌いだった。
つらくなったら、カラオケに行って、ひたすら自分の時間を過ごす。誰でもない自分。どこにも所属していない自分を作ろうとしていた。
「NO NAME」の自分が欲しかったのです。そうやって心のバランスを取っていたような気がするのです。でも、そんな毎日があったから、
孤独で、誰にも頼る事ができなくて、ただボーッと空を見て、涙が出てくるような夜を経験したから、きっと誰かに優しくする事ができるんだと思うんです。
大丈夫そうに見えて、大丈夫ではないのが人間です。私はいらない能力なんだけれど、相手の心の動きが手に取るようにわかるんです。
炎のように揺れる感情。そんなものが見えてしまう。これは自分の弱さを知ったからだと思う。自分の弱さと向き合ったからなんです、きっとね。
あの時はつらかったし、もうあんなに寂しい気持ちにはなりたくはないけれど、私は自分の弱さを知る事ができてよかった。
あの頃は知らなかった孤独とか、寂しさとか、無力さとか、そんな人間的なものを知る事ができたから。自分の弱さを知る事で優しくなる事ができたから。
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共感だけではなく、力を与え合える関係性が良い
ただ、自分の弱さを知っていて、他人に優しいからといって、その優しさが相手にとって良いものなのか?というと、これはわからない。
基本的には優しさは良いもの。でも、優しさは時にコミュニティを形成したり、共感だけを創出してしまう事があるのです。
つらい時に「つらいよね。この社会っておかしいよね」という感じでね。共感し、一緒に落ちていってしまう。確かに、そんな風に一緒に落ちていく事にだって意味はあるのかもしれない。
安心感があるのかもしれない。でも、そのままじゃ何も始まらないと思うんですよね。自分の弱さを知っているから他人に優しく接する事はできる。
ただ、共感だけで終わってしまうような関係性は何か違うよね、と思っている。何か?なんてわからないけれど、何かが違う。
自分の弱さを知った上で、誰かに優しさをサンタクロースみたいに配る方が私は好き。狭いコミュニティで「ウチらって恵まれていないよね」と下を向いているだけでは何も変わらない。
誰もが優しさを持った上で、相手と共に成長する事ができたら良いよね。
そしたら、もっと綺麗な心で、清らかな心で、空を見られるんじゃないかな。
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