安定経営をしながら会社を成長させたい。それがね、実は経営者としての願望だったりもするわけですよ。
経営者は売上を増やして、利益を追求する。それだけを求めているように思える。でも、実は違うんですよね。
経営者は「会社が成長して欲しい」と願いながらも、「会社が倒産して欲しくない」と思っています。
経営者は会社が倒産してしまうことを最も恐れているのですよ。だからね、今回は現役で一応経営している私が「安定経営をしながら成長させる」なんてことをテーマに話してみようかな、と思います。
安定経営のための3つのキーワード
不動産所有による賃貸経営
私の会社でもそうなんですけど、他の会社をみても、「安定経営」を実現している会社って「不動産賃貸業」をやっているわけですよ。
安定経営していない企業って「本業での売上」をただただ増やして納税しているのです。でも、それでは安定しない。
本業はいつ崩れるのかわかりませんからね。例えば、飲食店の場合、コロナウイルスの蔓延やリーマンショックみたいなことが起こってしまうと、一気に売上が立たなくなってしまいますよね……。
「1000万円の売上」が500万円になってしまうこともある。そういった事態にも、不動産賃貸業は安定して家賃を払ってもらうことができる。
もしかすると、「賃料を下げてもらえませんか?」と交渉されるかもしれない。ただ、それを見越しても、結局は人間はどこかに住んでいなければ生きていけません。
「お金がないから新車を買うのはやめよう」とか「安い野菜にしよう!」となるかもしれませんが、「家をやめて公園にいこう!」とは多くの場合はなりません。
家を諦めるのは本当に最後の手段です。なので、安定経営をするためには「不動産賃貸業」を営む必要があるかな、と思います。
サッポロとか松竹とかキー局もそうですよね。実は不動産賃貸業を営み、経営を安定させている企業は多いのです。
オフィスの最適解を模索する
会社の経費に関して厳しい会社はあっても、実はオフィスの場所に関しては鈍感な経営者が多いように思います。
例えば、経営者は意外と「月額50万円以下の賃料のオフィスで」といった感じで探している場合が多いです。しかも、中小企業の場合だとそこまで場所にもこだわりません。
ただ、ここで重要なのが「社員の交通費の最適解はどこなのか?」という部分なんですよ。意外と大きいんですよね、交通費って。
例えば、東京で言えば「都営とJRとメトロ」を全て使うようなルートで通勤されてしまった場合、定期代でかなりの金額がかかってきます。
30人程度の企業であれば、場所によって10万円弱程度は交通費の総額に差が出てくると思います。
社員の中でメトロを使っている人が多いのであれば、メトロの駅を中心に探したり、都営を使っている人が多いのであれば都営を使う。
後はルート営業が中心の会社であれば、「どれくらいの頻度で取引先にいくのか?」と「取引先の駅は何線なのか?」を調べる必要があります。
オフィスの場所の最適解を探すことによって、安定経営を実現することができるんじゃないかな、と思います。
実はね、こういう固定費が大きかったりするのです。安定経営のためにはね、やっぱりこういう細かい調整が必要なものなのですよ。
自社ビルを持たない
自社ビルを持つと会社が傾く、という言葉をね、小さい頃から父親に言われてきたのですよ。笑
自社ビルを持つことを夢をみている経営者って多いと思うんですよ……。自社ビルを持って、ビルの名前に自分の会社名をつけたりね。
そういう経営者の人も多いです。でも、自社ビルを持ったところで、それは何の富も生み出さない負債なんですよね。
自社ビルを買うほどの大きな余裕があるなら良い。1000億円の売上があって、会社ノフロア面積もそれなりに必要になってきてしまった。
会社というものは面積が大きいフロアほど坪単価が高くなるものです。だから、大きくなればなるほど、自社ビルの必要性は高くなってくる。
でも、もしもそこまでの面積を必要としない会社なのであれば、自社ビルを持つ必要はないです。むしろ、今はシェアの時代ですから、コワーキングスペースなんかを活用して、
なるべくオフィス代がかからないようにするべきじゃないですかね。
会社が成長すれば安定するわけではない
安定経営も大事だけれど、会社の成長だって大事です。でもね、会社が成長すれば会社が安定するわけでもないのよね。
例えば、たくさん土地を仕入れて、開発し、ワンルームマンションを売るような会社をやっていたとする。景気が良い時にはこれが良い具合に業績を押し上げたりもする。
営業マンがしっかりと営業をすれば売れるような時代であれば、それはそれは業績が上がっていくでしょうね。
でも、状況が変わったらどうだろう?例えば、コロナウイルスの蔓延のようなことが起こったら、持っていた土地はどうなる?価値は落ちてしまい、さらに賃貸として貸しているわけでもないからお金も生み出さない。
さらに、営業マンに対してもそれなりの賃金を払っていたはず。きちんと開発して、きちんと売れた時代はそれでも良い。会社が成長するでしょうね。
ただ、それはどこかで崩れてしまう可能性もある。会社が成長すれば安定経営ができる?いや、そんなことはないのですよ。
毎年のように売上が1億円、2億円、5億円、10億円と上がるのは素晴らしい。でも、その一方で「守りの経営」という部分も大事であるという認識を持つべきだと思う。
例えば、前章で話したような「不動産賃貸業」の売上比率を増やしてみたりね。不景気になれば土地の値は下がり、家賃が下落する。
なので、全く影響がないわけではない。
ただ、「ゼロ」になるわけではないのです。会社を成長させるのが社長の使命ではある。ただ、安定経営を目指すのもまた社長としての使命なのですよ。
会社が大きくなった時、「なぜ大きくなったの?固定費はどの程度か?景気後退時にどの程度下落する見込みなのか?」といった部分を総合的に考えて経営していく必要があるのです。
景気の良い時に会社を成長させて会社を売却する。これだったら、別に一時的な売上を作れば良いと思います。
ただ、会社として、自分が経営者として経営していくのであれば、安定経営のために「守りの経営」も必要なのです。
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倒産した会社から学びましょう
よくね、みんなは「成功している会社の社長」に憧れるし、成長している会社の業績ばかりに注目するわけですよ。
例えば、日本人が経営している会社であれば、「ソフトバンク」が人気ですよね。レバレッジを効かせた経営を学ぶためには非常に良い例だと思うし、日本の会社にはない「株主を意識した経営」をしていると思う。
ただ、成功している会社から学ぶことよりも、倒産してしまったら会社から学ぶことの方がね、実は多いわけですよ。
まあ私の周りでも、倒産してしまった企業なんてものはたくさんいるわけであって、消えていく時には静かに消えていくわけです。
「あれ?最近どうしているのかな」と思っていたら、会社を清算していたところとかね。結構あるわけです。
ソフトバンクのように成功している会社は、「レバレッジをかけて経営していくと株主にたくさん還元できるんだな」なんてことを知る良い材料にはなります。
でも、もっとね、倒産した企業を研究してみたら良いのですよ。安定経営をしているところじゃなく、安定経営ができなかったところから学ぶというね。
例えば1兆円倒産と言われたエアバッグの「タカタ」なんかね。リコールのタカタですよ。笑
こういう大きな規模の倒産なんかも参考にしてみて、「こうすれば安定経営ができるんだ」くらいの分析をしてみたら良いんじゃないですかね。
そういう分析レポートとかも需要があったりするのかな。noteとかで書いてみようかしら……。
はい。という感じです。
ではでは、まりもでした。
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