「経営者視点で考えなさい!」と会社で言われたことってありませんか?
中小企業とかだったら、朝の朝礼の時に社員に向かって、「これからは経営者視点を持って仕事をしなさい」なんて言われる。
私も経営者だからよくわかる。社員には経営者視点で考える癖をつけて欲しい。
でもね、なかなかうまくはいかないものなんですよ。
だって社員だから!従業員だから!
社員が経営者の視点で考えることができない理由
自分の会社ではない
そもそもね、「経営者の視点で考える」なんて言っても、従業員は従業員であって株主でも何でもないんですよ。
「こんな仕事をしてね!」と言われて任された仕事をお金をもらって遂行する。
それが従業員の本来の役割です。
だからね、経営者視点で考える、ということ自体がとても難しいことなんですよ。
従業員が株式を持っている「オーナー」だったりしたら別だけど、そんなことはないわけで、基本的に経営者視点で考えるメリットが何もないんですよ。
経営者視点で考えることによって、会社が大きくなる。そうすると経営者は喜ぶよね。
経営者は自分の会社が大きくなればそれだけ嬉しいし、剰余金も増える。役員報酬だって増やすかもしれないよね。
でも、従業員は違う。経営者の視点で考えることができ、会社を大きくしたところで、何もメリットがないのです。
他人の会社を育てているようなものですからね。ビジョンに共感することができたり、社長のことが好きだったりすれば別だけど、
そうじゃない限りは基本的に「経営者の視点で考える」なんてことをしてくれる社員はいないわけです。
明確に給料が上がらない
経営者の視点で考えることができて、会社の業績も好調だったしよう。でも、そんな場合にも社員の給料は明確には上がらないと思うんですよね……。
社員の給料って上げるのは簡単だけど、下げるのは非常に難しい。だから、どこの企業も「基本給」を上げるのではなく、「手当」で報酬を与えるのです。
経営者の視点で考えることができる社員がいたとしても、会社側はそれに見合った報酬を出してあげることができないのが現実だと思う。
仕方ないのよね。
そうなってくると、従業員サイドも「給料が上がらないんだったら経営者の視点で考えるなんてくだらないじゃん」と思ってしまう。
従業員として従業員としての考え方で仕事をした方が楽だよね、となるのが当然だと思うのです。
私だったらそうなってしまうしね。私もサラリーマンの時には「いかに楽をするのか」だけを考えていたかもしれない……。
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経営者は従業員にこんなことを考えて欲しい
個人ではなく会社としてどうなのか?
個人ではなく、会社としてどうなのか?ということを考えて欲しいんですよね。
たとえば、新しい仕事をお願いされた時に、個人レベルで考えると「自分の仕事が増えるから面倒だ」と思うはずです。
実際にありましたからね。うちの会社でも。
せっかくお願いしてくれているのに、頑張って仕事を取ろうとはせずに、何となくうやむやな感じで終わってしまう、ということがありました。
この時、経営者の視点で考えることができれば、「会社のためには新しい仕事を取った方が良い」ということがわかるはず。
そして、会社として考えれば、「十分な利益を産むビジネスであれば、追加で雇用するだろう」ということがわかるんですよね。
新しい技術の導入
経営者の視点で考えるということは、常に「新しいモノやこと」に興味を持つということでもある。
会社というものはだんだんと古くなってくるものです。だから、新しいものを常に導入していく必要があるんですよね。
経営者の視点で考えることができれば、「新しいものには興味を持っておこう」と思えるはず。
たとえば、映像制作会社であれば、ドローンに興味を持ってみるとかね。時代は変わりますから、時代の変化を敏感に感じ取ってくれる社員が1人でも多く欲しいのです。
じゃないと、会社って簡単に潰れてしまうものですから……。意外と脆いものなんですよ。
長期的な展望
経営者の視点で考えるということは「長期的な展望を考える」ということでもあるんですよ。
経営者が社員に対して「長期的な展望を考えて仕事をして欲しい」なんて思うのはおこがましいのかもしれない。でも、思ってしまう部分はありますよね。
より安定した企業を作るためにはどうすれば良いのか?より会社の地位を向上させるにはどうすれば良いのか。
そんなことを長期的な視野を持って考える人材が欲しいのです。
短期的な収入だけをあげることも大切。でも、経営者が最も大切にするのは「倒産しない成長」だと思う。
だからね、経営者の視点で考えることをどうしても求めてしまう部分があるんです。
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結局は経営者が自分で考えることになるよ
まあね、経営者の視点で考えることを経営者は求めてしまう。実際、従業員にとっても経営者の視点で考える癖がつけば、将来的に独立することだってできる。
だから、良い面もあるんですよね。でも、ほとんどの人には独立する気なんてないし、「会社がダメになれば転職すれば良いや」と思っているから難しいんですよね。
結局は経営者がワンマン的に考えるしかなくなっていくような気がしてしまう……。
よく、「家族経営のワンマン社長」みたいなものが批判されるけど、あれはね、そうならざるを得ない部分もあるんですよ。
経営者の視点で考える人がいれば別だけど、基本的には経営者の視点で考える人は社長しかいなくなってしまう。
取締役だって真剣には考えていないことが多い。
だから仕方ないことなんですよ。仕方がないから社長だけが経営者の視点で考えて、判断することになるのです。
孤独ですよ。社長は孤独になりがちです。でも、仕方ないんですよね。
経営者の視点で考えることも本当は大切だと思うんだけどなあ……。これから先は「雇われる」だけじゃなく、「仕事を作る」が大事になってくると思うから。
人のお金だけで食べていくのはこの先厳しいと思う。時代が変わっているのです。
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